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多様性と戦争と創造性と

2023年10月10日

尾灯

編集長
舟橋 良治

 愛情や共感をもたらすとされるホルモン「オキシトシン」をご存じ?本来は母乳を出すためのもので、絆ホルモンなどとも呼ばれるが、男性にも分泌されている。この脳内物質の影響下では仲間を優先、守る、自民族中心主義的な傾向が確認できるのだという。別の見方をすれば、味方と敵を線引きして戦争の原因にもなるのだとか。

 そんなことを考えていたら、文化や歴史的な背景が異なる人々が共存する社会構築の重要性が一段と増している気がしてきた。同質的な社会は敵を作りやすくなるのではないのか。争いの起源論は別にしても、多様な人々が交差した古代オリエントでさまざまな文明が栄えていたし、戦時よりも平和を謳歌(おうか)した年月のほうが長い。多様性が創造性を育むのも否定できない。

 多様性を学ぶすべは異文化との触れ合いなどいろいろあろうが、木下紗江研究員がコラム「子供 2 人を育てるのが理想だが=今の政策では『1 人が精いっぱい』」で紹介しているように、「(就学前から)多様な友達と出会うことで、思いやりや自制心、忍耐力、社会性といった生きる力が育まれる」(全国認定こども園連絡協議会会長)。幼い頃から経済的・社会的な背景の異なる友達と日常的に接するのが、多様性を知る第一歩に違いない。

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舟橋 良治

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この記事は、2023年9月26日発行のHeadLineに掲載されました。

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